エアー配管設計の基本と落とし穴
─ 圧損を防ぎ効率を最大化する配管レイアウト

コンプレッサー配管設計は「空気を運ぶだけ」と軽視されがちですが、実際には圧損・リーク・振動・騒音・配管干渉など多くの課題が存在します。 適切な配管設計は生産設備の効率・圧力安定性・省エネに直結します。本記事では配管設計の基本原則から、現場でよく起こる**落とし穴と対策**まで、実務者視点でわかりやすく解説します。

1|エアー配管設計の重要性

エアー供給配管は、コンプレッサーから各機器までの空気を効率よく配送する役割を担います。配管が適切でないと、過度な圧損や音振動が発生し、圧力低下や設備故障を引き起こします。 直感や慣習で設計するのではなく、**物理原則に基づいて設計すること**が重要です。

影響要素設備へ与える影響
圧力損失(圧損)末端圧力不足・効率低下
リーク無駄エアー生産・電力浪費
振動・騒音品質影響・騒音対策増加
保守性不足停止時間延長・作業性低下
配管設計はコンプレッサー本体だけでなく、**工場全体のエアー供給システム**のパフォーマンスを決める重要なファクターです。

2|圧損(圧力損失)とは? その原理と影響

圧損とは「配管内で圧力が下がること」です。空気は粘性があり、**流速・配管長・曲がり角・表面摩擦**によって圧力が低下します。 これはコンプレッサーで作られた空気エネルギーが無駄になる原因です。

原因圧損への影響
配管径不足流速増加 → 圧損大
長い直管摩擦損失増大
多くの曲がり乱流発生 → 圧損増
バルブ・継手局所抵抗で圧力ロス

一般式としては、**配管径が小さく・流速が高く・距離が長い**ほど圧損が大きくなります。 設計段階でこれらを数値化し、適切なサイズ設計を行う必要があります。

3|配管径の基本設計ルール

配管径の選定は圧損に大きく影響します。一般的には、**必要空気量(流量)に応じた最適径を選定**することが基本です。

流量(m³/min)推奨配管径(mm)
〜225〜32
2〜532〜40
5〜1040〜50
10〜1550〜65
15以上65以上

※ 上記は目安であり、**圧損計算と負荷条件を確認して最適径を選定**することが重要です。

4|レイアウト設計の基本原則

配管レイアウト設計では、次の基本原則を押さえることが重要です。

① 最短経路で敷設

最短距離で配管を通すことで、圧損を最小限に抑えます。迂回や複雑な曲がりは圧損増加の原因になります。

② 余裕のあるサポート配置

配管を適切に支持し振動を伝播させないようにサポートを配置します。サポート間隔が広すぎると振動やたわみが発生します。

③ 垂直配管は注意

垂直配管は空気中の水分やドレン溜まりの原因になるため、**傾斜を設けてドレンが流れるように設計**します。

④ 分岐はT字よりY字

分岐部は **T字よりY字接続** の方が流れがスムーズで圧損が減少します。

設計ポイント推奨/非推奨
分岐形状Y字(推奨) / T字(注意)
サポート間隔短めで安定支持
ループ配管必要に応じて設計

5|よくある落とし穴と対策

エアー配管設計でよくある失敗例と、その対策を整理します。

落とし穴① 配管径不足

設備稼働後に末端圧力低下や圧損が発生するケースです。 **流量に見合わない配管径**を選定すると、末端で必要な圧力が確保できなくなります。 対策: 圧損計算を事前に実行し、流量条件に応じた配管径を選定します。

落とし穴② ドレン溜まりの発生

垂直配管や勾配がない配管により、ドレンが溜まり流路閉塞を招くことがあります。 対策: 配管を適切に勾配設計し、ドレン取り出し口を十分に確保することが重要です。

落とし穴③ 急カーブ・急変径

急な曲りや径の急変は流れを乱し圧損を増やします。 対策: できるだけ **Rの大きい曲り・段階的な径変更** を用い、乱流を抑えます。

6|配管設計とドレン管理の連携

配管設計は単独で完結するものではなく、**ドレン管理設計と連携**する必要があります。 特にドレンは配管内で溜まりやすいため、適切な **ドレン取り出しポイントの設計** が必要です。

配管部位ドレン対策
長尺直管低点にドレン取り出し
立上配管傾斜付与
分岐点水溜まり防止

7|施工と保守の注意点

配管は設計だけでなく、**施工と定期保守**が機能維持に重要です。点検すべき項目は以下の通りです。

配管施工後は必ず**気密試験・圧力試験**を実施し、設計値どおりの性能が出ているかを確認します。

8|まとめ

エア配管設計は、末端の機器性能だけでなく、**生産性・省エネ・品質安定・保守性**すべてに影響する重要な設計要素です。 圧損を防止し、効率を最大化するための基本原則と落とし穴対策を理解し、実務で活用してください。

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