インバーター機 vs 定速機
─ 目的別メリット・デメリット徹底比較と選び方

工場用コンプレッサーの方式として最も議論されるのが、「インバーター機(可変速)」「定速機(固定速)」のどちらを選ぶべきかという点です。 両者は同じ「圧縮空気を作る」という役割を持ちながら、 運転制御・省エネ・初期投資などで大きな違いがあります。

本記事では現場の実務担当者・設備導入の判断者が迷わないよう、 両方式のメリット・デメリットを比較し、**目的別に最適な選び方**を整理します。

1|定速機とインバーター機、そもそもの違い

大まかにいうと、両者の違いは「圧縮空気をどのように作るか」という制御方式の違いです。

項目定速機(固定速)インバータ機(可変速)
制御方式一定回転でON/OFF制御負荷に応じて回転数を変える
特徴シンプルで安定運転負荷変動に強く省エネ
適用例一定負荷が多いライン負荷変動が激しい現場

定速機は単純な制御で故障リスクが低く、初期投資を抑えられるのに対し、 インバーター機は負荷に応じて回転数を変えるため、**負荷変動がある現場で大きな省エネ効果**を発揮します。

2|インバーター機のメリット・デメリット

インバーター機のメリット

メリット内容
省エネ効果負荷に応じて回転数を制御するため、電力消費を最小化
安定圧力供給圧力変動が少なく、品質安定につながる
騒音低減回転数制御により騒音が抑えられることが多い
始動ショック軽減ソフトスタートにより電源への影響が少ない

インバーター機のデメリット

デメリット内容
初期コストが高い制御装置の分だけ高価になる
制御が複雑設定や調整が必要になるケースあり
メンテナンス費用インバーターユニットの交換コストが発生する場合
環境依存負荷変動の少ない現場では効果が出にくい

インバーター機は省エネ効果が大きい反面、**運用負荷が低く一定のラインでは効果が限定的**な場合があります。 そのため、導入前に負荷特性をしっかり分析する必要があります。

3|定速機のメリット・デメリット

定速機のメリット

メリット内容
コストが安い構造がシンプルで購入コストが低い
耐久性が高い制御が単純な分、故障リスクが低い
メンテナンスが簡単部品構成がシンプルなため保守が容易
導入障壁が低い設定・調整が少なく、すぐ運用可能

定速機のデメリット

デメリット内容
省エネ効果が出にくいON/OFF制御では空運転が多くなる可能性
圧力波動一定負荷でない場合、圧力変動が大きくなりやすい
電力負荷が大きい始動電流が高い場合がある
制御が限定的負荷変動には対応しづらい

定速機は単純明快で信頼性が高いため、多くの工場で使われていますが、 近年の電力コスト高騰・省エネ要求が高まる中では、**運用条件次第で損失を生む可能性**があります。

4|どの現場にどっちが向いているか?用途別比較

用途・負荷特性に応じた選び方を整理します。

用途負荷特性向いている方式理由
恒常的に一定負荷変動少定速機シンプルで安定運転
負荷変動が大きい変動ありインバーター機部分負荷で省エネ効果大
短時間運転が多い断続運転インバーター機ON/OFF頻発を抑制
24時間連続運転長時間稼働どちらでも可条件により選択
ピーク電力対策時間帯で高/低インバーター機負荷制御で電力ピーク抑制

上記のように、運用特性をしっかり把握し、選択する方式を決めることが重要です。 単に“インバーター機は省エネ”という一般論だけで判断するのは避けましょう。

5|導入時の実務的なチェックポイント

① 運用負荷の把握

稼働時間・負荷変動・使用設備を実測データで把握し、導入前に負荷診断を行います。

② 電力契約と負荷ピーク

インバーター機の効果はピーク電力と密接に関係します。**電力契約の条件と合わせてシミュレーション**を行うと効果が確実になります。

③ 導入後の評価指標設定

導入後は必ず**消費電力・圧力変動・停止頻度**などの指標を設定し、効果評価を行いましょう。

6|費用回収シミュレーション例

項目定速機インバーター機
初期費用100130
年間電気代10080
年間削減効果20
回収見込み6.5年

※ この表は例示です。実際の回収年数は運用条件によって前後しますが、**負荷変動の大きい現場ではインバータ機の投資回収が進みやすい**ことがわかります。

インバーター機の省エネ効果は現場負荷条件次第です。定速機と比較した場合、**運用データを基にしたシミュレーションが最も信頼できる判断材料**になります。

7|まとめ

インバーター機と定速機は、どちらが“絶対に正解”ということはありません。 **現場の負荷特性・運用パターン・電力契約条件・保守体制**など総合的に判断することが必要です。 本記事の比較表や事例を参考に、現場に最もフィットする方式を選びましょう。

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